センター長挨拶
当院の消化器内視鏡件数は、年間3000件前後であった2008年度より着実に増加し、2018年1月には消化器内視鏡センターが開設されました。その後コロナ禍の影響も受けましたが現在は年間5000~6000件で推移しております。これは当院スタッフの努力や人員の増加により対応可能な件数が増加したこともありますが、ひとえに地域の皆様や医療機関様のご理解とご協力、信頼関係向上の賜と考えております。
社会全体においては高齢化が進み、若年人口の減少はあるものの、低侵襲治療や疾病の早期発見・早期治療を目的とした健診など、消化器内視鏡への期待や需要は今後も大きいと思われます。一方で地方の医療現場では、医療スタッフの不足や高齢化による職場環境の厳しさが増しています。このような状況においても、一定水準の医療を維持し、さらなる向上へつなげるべく地道な努力を継続していく所存です。
皆様と消化器内視鏡センターが、良きパートナーとして共に発展していけるよう願っております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
消化器内科 北原 桂
理念
内視鏡検査・治療を通じて、地域の皆様の健康増進に貢献する。地域の皆様にとって、身近で利用しやすい施設を目指す。
近隣医療機関の先生方へ
平素より大変お世話になっております。
当院内視鏡センターでは、随時上部消化管内視鏡検査の紹介受け入れを行っております。患者様や近隣医療機関の先生方の利便性を高めるべく努力して参りますので、ひき続きご活用のほどよろしくお願い申し上げます。ご紹介の際は下記へご連絡ください。ご紹介用の書式のダウンロードも可能です。
2022年度 内視鏡センター診療実績
上部消化管内視鏡検査 | 4,278件 | |
(再掲) | 内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) | 5件 |
内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜切除術) | 5件 | |
食道・胃静脈瘤硬化療法 | 9件 | |
内視鏡的食道静脈瘤結紮術 | 8件 | |
食道ステント留置術 | 1件 | |
食道狭窄拡張術 | 6件 | |
内視鏡的消化管止血術 | 28件 | |
ファイバースコープ下食道下部異物摘出術 | 1件 | |
ファイバースコープ下胃内異物摘出術 | 7件 | |
内視鏡的胃、十二指腸ステント留置術 | 4件 | |
早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 | 18件 | |
内視鏡的胃ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍) | 1件 | |
胃瘻造設術 | 12件 | |
胃瘻抜去術 | 1件 | |
下部消化管内視鏡検査 | 1,291件 | |
(再掲) | 結腸狭窄部拡張術 | 1件 |
小腸結腸内視鏡的止血術 | 26件 | |
早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 | 18件 | |
内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 | 248件 | |
内視鏡的結腸異物摘出術 | 1件 | |
内視鏡的逆行性膵胆管造影検査 | 168件 | |
(再掲) | 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD) | 2件 |
内視鏡的胆道ステント留置術 | 65件 | |
内視鏡的胆道拡張術 | 2件 | |
内視鏡的胆道結石除去術 | 24件 | |
内視鏡的乳頭切開術 | 43件 | |
内視鏡的乳頭切開術(胆道砕石術を伴う) | 9件 | |
内視鏡的乳頭拡張術 | 4件 |
(手術:算定件数)
内視鏡件数の推移

2022年度 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
件数 | 年齢中央値 | 施行時間中央値 | 一括切除率 | 偶発症 | 追加治療 | |
食道 | 4 | 62(48-76) | 2:41(0:30-4:00) | 100% | 0 | 0 |
胃 | 22 | 72(40-87) | 1:19(0:16-3:48) | 96% | 穿孔1例 | 手術2例 |
大腸 | 24 | 72(58-87) | 0:52(0:16-3:05) | 92% | 0 | 手術2例 |
全体 | 50 | 72(40-87) | 1:08(0:16-4:00) | 94% | 1 | 4 |
過去5年間のESD件数

早期胃癌の内視鏡治療(胃ESD)

a: 前庭部小彎に早期胃癌(Ⅱc病変)を認める。
b: 拡大NBI観察にて陥凹部分には異型血管を認め胃癌と診断できる。
c: 病変周囲をマーキング。
d: 専用電気メスで周辺切開。
e: クリップにて病変を牽引し粘膜剥離。
f: 一括切除後。
b: 拡大NBI観察にて陥凹部分には異型血管を認め胃癌と診断できる。
c: 病変周囲をマーキング。
d: 専用電気メスで周辺切開。
e: クリップにて病変を牽引し粘膜剥離。
f: 一括切除後。
大腸腫瘍の内視鏡治療(大腸ESD)

a: S状結腸に瘢痕を伴う側方発育腫瘍を認める。
b: 局注後。中心部が膨隆しない。
c: 専用電気メスで周辺切開。
d: クリップにて病変を対側へ牽引。
e: 粘膜剥離。
f: 一括切除後。
b: 局注後。中心部が膨隆しない。
c: 専用電気メスで周辺切開。
d: クリップにて病変を対側へ牽引。
e: 粘膜剥離。
f: 一括切除後。
食道内圧検査(HRM:High-resolution manometry)
上部消化管内視鏡検査で明らかな異常を認めないにもかかわらず、「つかえ感」、「胸痛」などを認めることがあります。
これらの症状の原因が食道の運動異常で起きていることがあります。
このため当センターでは2019年より高解析食道内圧検査(HRM)を導入し診療を行っております。
